HOME〉Silkroad                                                  Uyghul distinct >2011



        
   シルクロード西域南道 チェルチェン ホータン
                               

  
新疆ウイグル自治区                                       十勝毎日新聞にて連載                      
   
   
                   〈ロバがシルクロードの雰囲気を出してくれる。ホータンで  2011 8 7 撮影〉
       
              
 

 
      〈ナンを売る女性。一枚1元~1.5元〉
 
 
 
         〈私が満足した道路標識)

 
     〈シシカバブー抜きには語れない チェルチェンで
 
  
           〈利用した寝台バス 意外と快適〉

シルクロード「西域南道」にある砂漠のオアシス「チェルチェン」にたどり着いたのは、8月5日の夕刻である。コルラから6607時間半、砂漠の中を時速120㌔で走る乗合いタクシーの旅はなかなかタフだ。

 チェルチェンオアシスは標高1200㍍、湿度10%以下とはいえさすがに暑い。驚くほどのどが渇く。いくら飲んでも追いつかない。
 ウイグル族が大半を占めるかつての且末
(しゃまつ チェモー)国は、さすがにシルクロードの雰囲気に溢れていた。町中に見るべきものは何もなく、人々の暮らしがあるだけのオアシスである。かまどで焼くチャパティに似た「ナン」や、羊の串焼きシシカバブーが強烈な日差しの下通りに溢れている。

 ホテル探しは難航した。「外国人は泊められない」の繰り返しに泣き落としの形でこっそり泊めてもらったが、外国人を泊めてくれるホテルもないほど、何もないとも言えるのである。

 町中に道路標識がある。「東のチャルクリク352㌔、西のニヤ315㌔」。要するに東西の隣町まで300㌔離れているということである。何たる距離。私は大いに満足した。

翌日、午前10時発ホータン行のバスに乗った。600㌔走るバスは、意外にも寝台バスであった(1351700)。ターミナルの荷物検査で私の荷物から酒類の瓶が出てきて、驚いたことに没収だという。イスラム圏に入ったとは言え、これには驚いた。そこに突然日本語を「独学」しているという漢族の青年浅君が現われ、親切にいろいろと面倒を見てくれた。

二段式の寝台バスで、横になりながら10時間。私は行政単位が変わるたびに執拗な「検問」を受け、砂漠だけの風景を眺めながらようやくホータンに辿り着いた。

 タクラマカン砂漠の中心オアシス、「ホータン」。一挙にウイグル族には英語はもちろん中国語もなかなか通じなくなってきた。紀元前からオアシス国家が興亡してきたこの町は、オアシスの中のオアシスと言える。

 霊力を持つという「玉」は、ここが原産地である。人口30万の市内を流れる「ユルンカシュ河」では、三千年前から玉が採れる。川の水は速く水量も多いことに驚かされたが、それ以上に驚かされたのは行楽客と玉の商人たちの夥しい数である。大変な賑わいであった。

南方にある6000㍍級の崑崙山脈からの「雪解け水」がオアシスに命を与え同時に「玉 ぎょく」を作り、やがて川はタクラマカン砂漠に消えていくわけである。 素晴らしい、システムである。

 「そうだ今日は日曜日だ、バザールに行こう」。日曜日には10万人が集まるという「大バザール」が、町の中心にある。警察の姿が多い。718日に[襲撃事件]の起こった派出所が、すぐに目に入った。なるほど、町の中心に位置している。周囲のウイグル人にコメントも求めても、表情を硬くするだけで無言のままである。この町も漢族とウイグル人の棲み分けが進み、何とも言えぬ緊張感がある。

 私は宿泊できたターミナルのホテルで、一人の日本旅行者と出くわした。「ラマザーン、始まってるんですね」。「そうか、ラマザーンだったんだ。全くうっかりしていた」。ラマザーンとはイスラム教徒の一か月に渡る所謂「断食」である。日中は飲食せず、食堂もホータンでは午後920分からようやく店を開いていた。なるほど、町中やバスの中で飲食する人を見かけなかったわけである。

私は西に進み、確実にイスラム色が強くなるのを肌で感じ始めた。更に西へ。部屋の中で夕食を済ませると、520㌔西にある「カシュガル」行の夜行寝台バスに乗り込んだ。
  


   
                  〈チェルチェンの中心街。 シルクロードの雰囲気いっぱいである 2011 8 5)        

    
       〈ニヤの検問所 公安による検問が続いた〉               〈時々見かける野生化したラクダ〉  

     
            〈やはりホータン市内で〉                    
    〈市民の足はこれ ホータンで〉

    
   
      
 〈玉を採る人々   ホータン〉                  〈玉を取引する人々があふれている〉

    

         〈7月18日襲撃事件のあった派出所〉               〈あまりの暑さに水遊びする子供たち ホータン〉


                         
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