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   タクラマカン砂漠縦断「砂漠公路」
                               

  
新疆ウイグル自治区                                                   十勝毎日新聞にて連載                         
   
 
                   〈タクラマカン砂漠「砂漠公路」を進む。  2011 8 5 午後2時  撮影〉
       
              
 
  
  〈ウルムチトルファン間には風力発電の羽根が並ぶ
                後ろは天山山脈ボゴダ山5445m)

 
 

    〈高速鉄道の建設が進められている。
               ウルムチートルファン間で)

 
  
 〈コルラから利用した乗合タクシーは料金バスの3倍3000円)
 
  
          〈砂漠公路は交通量が少なくない〉

 東西交流の道シルクロードには、やはり「砂漠の道」が似合う。日本の4倍の国土面積という新疆ウイグル自治区。その四分の一を占めるのがタクラマカン砂漠である。その砂漠の南北両サイドに「西域北道」と「西域南道」と名付けられたシルクロードの幹線ルートがある。私は、タクラマカン砂漠を一周する形で訪問を考えていたが、直前になり日程に無理があることに気が付いた。両方は無理だ。

私は迷わず「西域南道」を選んだ。楼蘭・米蘭などの遺跡や、典型的な砂漠のオアシスが現在も残っているから。

8月4日、私は上海から空路ウルムチに飛んだ。国内線とはいえ実に5時間を必要とし、国土の広大さが体感できる。
「今日のうちに、行けるところまで行こう」。私はウルムチに着くとすぐに、市内のバスターミナルから乗合タクシーで470㌔先のコルラに移動した。砂漠地帯に風力発電の大きな羽根が並び、その中に立派な片側二車線の高速道路(制限速度120)が続いている。しかも話題の「高速鉄道」の建設も、進行していた。大変な経済発展を見せつけられる地域が続く。

翌5日、コルラから楼蘭王国で名高い「チャルクリク」への移動を予定していた。しかし時間を節約できる乗合タクシーには2時間以上待っても、客が一人も集まらない。私は、客が集まりだした「チェルチェン」行のタクシーに鞍替えすることにした。チャルチャンまで実に660㌔、凄まじい距離である。運転手は毎日ここを走っているわけだ。路線バスの三倍の運賃であるタクシーの乗客は、私以外はやはりすべて漢族であった。

 タクシーは、南に向かわず西を向かって走り出した。「ひょっとしてこれは」。当然、オアシスの村々を巡って進むものと思っていたが、タクシーは近道になるタクラマカン砂漠を縦断するルートを進んでいた。

日本の国土に匹敵するこの砂漠を、こんなタクシーで無事に縦断できるのか。そもそも「タクラマカン」とは「生きて帰れぬ」という意味であり、私は不安に駆られた。

 しかし「砂漠公路」と名付けられた砂漠の道は、意外なことに交通量が多い。地図に載っていない道が数多くあり、タクシーは左折を繰り返す。道の脇には、「パイプライン」が並走している。そう現在タクラマカン砂漠は、重要な油田地帯になっているのである。

この国の2009年度の石油生産量は世界第5位であるが、急激な経済発展に生産が追いつかない。従って消費量は日本を追い越し、アメリカに次ぐ世界第二位。輸入量もアメリカ日本に次いで世界第3位。要するに「超大国」に向かって進むこの国では石油はいくらあっても足りず、新しい油田開発が重要な課題となっているのである。そのためにこんな大砂漠にも、立派な道路ができているわけである。ちなみにガソリンの市販価格は19(110)と、大変な高額であった(ディーゼル約90)

「塔中油田283㌔」の看板を過ぎると、ところどころにあったウイグル族の村もなくなり草木のない本格的な砂漠地帯に入った。交通量は減ったが、120㌔以上のスピードは出せない。大きな砂漠の丘陵地帯が繰り返され、見通しが効かないのである。気温も上がるが標高が850㍍前後とやや高く、33度前後でなんとか凌いでいけるわけである。
 コルラから
460㌔、「塔中油田」を過ぎると「左チェルチェン196㌔、右ニヤ236㌔」の看板があり、タクシーは大きく左折した
砂漠地帯はまだまだ続く。

  


   
              〈トルファン盆地からコルラに抜ける山岳地帯。片側二車線の高速道路が続いている。2011 8 4)        

  
       〈砂漠公路と並走するパイプライン〉
                                 
            
   
              〈油田地帯が続く〉                            〈塔中油田283㌔の看板〉

      
     〈昼食は炒面サオメン。運転手と右乗客の少女〉              (タクラマカンの丘陵地帯)
     
              
                           
 (タクラマカン砂漠を行く)

                          
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