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    明日への道
          日本語学校「ノリコ学級」

                 リシタン フェルガナ                
                               
 
 
ウズベキスタン共和国                                         十勝毎日新聞にて連載予定                                            
 
   
                〈西村綾介先生の授業を必死で受ける子供たち。ノリコ学級ユースセンターで。 2012 8 8 撮影〉 
      
              
 
 

 
    〈フェルガナ市中心街のターミナルに到着〉
 
 
    
 〈そして地元の方と一緒に朝食を食べる〉

  
       〈お世話になった方々中央に青井さん〉
 


今回の旅で、現地で是非お会いして下さいと薦められた方がいらっしゃる。フェルガナ盆地の中心都市フェルガナ市で、地元の若者に日本語を教えている青井時江さんである。

青井さんは、埼玉県で中学校教員を退職したあとご主人を亡くされた。「以前からボランティア活動はしていましたが、これを機会に本格的なものをと考えたんです。その時舞い込んだのがここでの活動です」。

なんと単独でやってきた青井さん。現在彼女の元には、30名ほどの生徒がいる。「完全に個人のボランティアです。教室も間借り状態ですから、なにもかもまだまだこれからです」と言いながらも、訪問した当日は彼女の提案でガーデンゴルフ大会が開催され、更に「近いうちに、日本語弁論大会をするんですよ」と、意気盛んで全く年齢を感じさせない。市内を案内していただき、更にはご自宅で日本食のご馳走まで頂いた。

その後私は青井さんと、フェルガナ市から東に1時間ほど陶器で有名なリシタン市に向かった。ここには日本語教育では先駆的な、設立10年を経た「ノリコ学級」がある。校長のガニシェル氏は生憎不在であったが、二つの専用の校舎を備え、夏休み中と言うこともあり多くの子どもたちが通学していた。

 ここで長期ボランティアをしている日本人は、現在三名ほど。その1人沖縄県出身の有銘兼之介(28)さんは、「JICAの派遣事業で2年間、ここで日本語を教えていました。事業終了後もそのまま残り、個人のボランティアの形で続けています。授業料が掛からないこともあり、全体では100名ほどの生徒がいて50名程度は常時通学してきています。子どもたちは、日本語能力試験を目標にしています。みんな目標があるので、私もやりがいがありますよ」。

特に小学生は日本語から学び始め、年齢が上がると英語の大切さに気付くようで、そのために有銘さんは英語の授業も展開していたのには驚かされた。

彼らが日本語を学ぶ主な理由は、やはり将来日本で働くことにある。月額平均収入が2万円程度のこの国では、日本で就職できればその十倍以上の収入が得られるわけである。理由はともあれ、夢に向かう子どもたちの意欲には目を見張るものがあった。活気ある授業が、展開されていた。

私は最後に初級レベルの教室を訪問した。「日本のどんなことに、興味がありますか」という私の質問に、「ニホンのレキシ」という意外な答えが返ってきた。「あなたが知りたいことは、どんなことですか」。「オダノブナガです」「クロフネってなんですか」「ヒロシマとは関係ないのですか」と、立派な質問が繰り返された。

 この子どもたちの強い意欲に、私はこの地域の明るい未来を垣間見たような気がした。そして無償ボランティアの形で活動する多くの日本人の姿に、私は感銘を受けた。日本人も、なかなか捨てたもんじゃないと。
                             続く 

      
        〈青井先生に日本食を頂き大感激〉                       〈ノリコ学級の熱心な子供たち〉
                                         
  
  
         
〈真剣な有銘先生の英語の授業〉                〈この子のオダノブナガ発言には、本当にびっくり〉

                      
    〈青井先生宅にあった暖房用ペチカ。燃料は天然ガス〉           〈子どもたちの情熱に感動。2012 8 8 撮影〉


                         
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