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  民主化への道 アンディジャン事件
                               

  
ウズベキスタン共和国                                        十勝毎日新聞にて連載予定                                            
   
  
             〈事件のあった州政府前広場。現在は犠牲者を弔うように花壇が広がっていた。  2011 8 7 撮影〉
       
              
 
  
     〈2005年このように人々が集まった APより〉
 
  
 
           〈こちらは劇場だった

  
           〈州政府はこちらだった〉
 


 民主化に一定の成果を上げたのがキルギスなら、その逆の立場にあるのが隣国ウズベキスタンである。メールや電話などの通信事情が悪く、日本からの連絡もなかなかはかどらなかった。「政府が操作してしますから」と、地元の人々はこともなげに言う。

 事件のあったアンディジャン市は、人口約35万。フェルガナ盆地の東部にあり、古くからシルクロードの要衝として栄えてきた。紀元前二世紀前漢の武帝が使者張騫(ちょうけん)を送った「大苑国」がかつて存在した夢とロマンに溢れたフェルガナ盆地。シルクロード好きの日本人にとっては垂涎の地であるが、現在の姿は厳しいものであった。

20055月、武装した反政府勢力が市の刑務所を襲撃し受刑者を解放するとともに政府建物を占拠。同時に市内では、カリモフ大統領の独裁政治に対する大規模な抗議デモが発生した。これに対して政府側は市民に対して発砲。数百名の死者(実数は不明)が生じたとされる。事件の詳細については現在も公表されず、人権問題として国際的な関心を集めている。
これがアンディジャン事件である。

 私は宿泊先を決めると早速、住民が虐殺された州庁舎前の広場に向かった。タクシーを乗り継ぎ緊張とともに、真夏の強烈な陽ざしを避けながらようやく辿り着いた。事件後は放置状態だったらしい広場は、現在花壇が並び平和な雰囲気が漂っている。意外なことに警察の姿もなく、撮影も問題なさそうだ。

 国民はこの事件をいったいどう考えているのだろうか。隣町フェルガナ市在住の女性(25)は、
「この国の人々は情報に振り回される傾向が強く、何事も簡単に信じてしまい正しい判断ができない場合が多いと思います。平和のためには仕方がなかったのです。内戦を防ぐことができたので一定の評価がされています。確かに憲法では自由や平等がきちんと規定されていますが、現実には表現の自由はありません。反政府の発言をすると、別な口実をつけられ刑務所に入れられてしまうのがこの国の現実です」。
 首都タシケント在住東洋学の女性専門家
(42)は「この地域はイスラムの保守的な地域である一方、自由に政治的な発言をする地域でもあります。発砲は、内務省の判断で行われたと聞いています。確かに学校現場での愛国主義教育などはやりすぎだと思いますが、基本的に国民が政治に無関心なのです。何もしない方が安全と考えている国民が大半です」。このように、やや寂しい感想が多い。

私は在住日本人から、次のような感想を複数耳にした。「現在もソ連時代同様の秘密警察(KGB)がありますし、みなさん羊のように政治には口出ししないのです。この国は中央アジアの北朝鮮とも呼ばれているんですよ」。
 厳しく管理される生活と、進まぬ民主化。そこには、この地域が抱える二つの大きな理由が隠されていた。    続く   
  


   
                                            〈賑やかで明るい新しい街並み。アンディジャン中心街    
   
 
     
      〈一杯8円ほどのジュースを売る少女〉                    〈明るく元気な闇両替屋さん〉
                                 
            
    
        
              〈一個80円ほどのメロン。 主食のパンはリペョーシカ。ひとつ4円ほど バザールで。 2011 8 7〉  
     

                        
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